シアワセの造り方

建築とインテリアと生き方のブログです。

余白

web内覧会その11

 

今日は余白スペースをとりあげる。

 

個室2も普段の用途がないいわば余白のような部屋だったが,

このような余白が我が家にはあと2つある。

 

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以前にも乗せた中央の箱である。

この箱の中は和室だが,

下は床下収納,上は物見台のようなスペースになっている。

 

果たして住宅に物見台は必要なのか?

 

答えは否であろう。全く必要ない。

はっきり言えば無駄である。

 

建築家はこのスペースのあるこの造りに関して

「なんかここがあることで面白いと思うんですよね」

といった。

 

建築家との家づくりは意図を汲む力が大事だと思った瞬間である。

 

おそらく建築家には何かが見えているのだろう。

しかしそれはプロの眼から見えているのであり,素人の私からは見えない。

 

プロは一見無駄に見える作業の中に本質的な仕事をすることがある*¹

 

無駄な空間があることは豊かなことがあると,本を読む中で知った私はこの無謀な賭けに乗った。

 

結果はこれだ

 

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3畳ほどのスペースに光が落ち,舞台のようになっている。

この舞台に何か意味があるかと問われれば意味はない。*²

意味は住む側で勝手に作るしかないのだが,

日によって光の見え方の変わるこの舞台はなんとなく悪くない。

 

 

そう感じてしまうあたり,おそらく建築家に騙されているのだろう。

 

 

 

床:ラワン材タイル切り張りオスモシルクグレー塗装

手すり:タモ造作

柱:構造通し柱(集成材),表面オーク化粧材

 

 

*¹注意するべきなのは本当に無駄なこともあるということだ。見極めが難しい。

*²夏は暑いスペースなので使っていないが,ハンモックがつるせる。

 季節が良くなったらぶらぶらしながら本でも読むつもり。

 プロジェクターを持ち込んで壁面に映画を映してもいい。

 よくわからない箱を住みこなすことにも楽しみがあるのかもしれない。

 

 

 

 

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半年目の成績表

今日は住み心地の話

 

今日は住宅の住み心地の話。

 

前回の断熱と暮らしぶりの話の閲覧数がすこぶる悪かったので,

皆さんあまり暮らしぶりには興味ないのかな?と思いつつ,

今の建築家カテはこれから建てる方々が増えているので,

建った後の良かったところ,こうしたらもっとよかったポイントなんかを

書いてみたいと思います。

 

いわば住宅の成績表みたいなものですかね。

 

半年,1年,3年とかの単位でやっていったら面白いかなーと思いつつ。

本当は全部書いていきたいけど,限界があるのでまずは5位まででいってみます。

 

では初めてみましょうか。

 

ここがよかったランキング

1食洗器

2乾太くん

3無垢床

4IHクッキングヒーター

5周り動線

 

ここをもっとこうしたらよかったランキング

1造作洗面棚

2ビニルクロス

3水回りの素材

4空調設備

5スイッチプレート

 

では,住んで半年でよかったところからランキングの内容を見ていきましょう。

 

1食洗器

我が家はBOSCHの60cmを導入していますが,

これは本当に導入の価値ありですね。

毎日毎日うんざりしていた食器洗いから解放されたのはうれしいです。

60Cmにしたのも正解ですね。

1日分を全部洗おうと思ったら45Cmなら一日2回まわさないといけないところでした。

 

2乾太くん

これも導入して正解の設備でしたね。

都合で8月に入るまで乾太くんなしでの生活をしてみましたが,

サンルームがあっても乾くまでに時間がかかってストレスでした。

干す動作がなくなったところもいいですね。

さらに洗濯物があまり多く目に触れない生活がこんなに気持ちいいものかと実感です。

 

3無垢床

裸足派の自分からすると無垢床はすばらしいです。

肌さわりも温かさもビニルフローリングなどとは段違いです。

スリッパ派ならあまり利点ではないかもしれませんね。

傷とかへこみは気になりますが,今の生活の質を支えていると思います。

素材については,杉,タモ(アッシュ),クルミと3種ありますが

個人的にはここに違いはあまりないです。堅木がないのでそこが評価できませんが,

樹種は個人の好みに頼ればいいと思います。

 

4IHクッキングヒーター

実家は途中からIHクッキングヒーターでした。あまり使い勝手が良い印象はなかったですが,自分の家で使いだしてみるといいものですね。

火力不足は料理法と料理機器の工夫で何とかなるかなという印象です。

それより,清掃性の良さが毎日の生活にはいいですね。

換気扇の汚れも段違いです。

 

5周り動線

間取りはかなり考えたので,良いところも悪いところもあまりなく

住みやすいなという印象ですが,その中で導入してよかったものと思うのは

周り動線ですね。

小さい家なんですが,中心が周り動線のおかげで突きあたりがなく,狭さがあまり感じません。

効率的に動ける感じもあるし,子どもも楽しそうだし,とてもいいと思います。

 

 

こうやってまとめてみると,自分は楽に気持ちよく生活したい気持ちが強いのがよくわかりますね^^

 

長くなったので,もっとこうしたらよかったポイントについてはまた次回に。

 

あと,写真がないのもさみしいので一枚…

 

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朝方の一コマ

朝日が入ると気持ちいいです。

ノーカーテンにできるコートハウスもよかったところに入れたかったですが

善し悪しがあるのと好みがあるので入れませんでした。

 

ではまたお会いしましょう。

 

 

 

 

 素敵な家々が見られます。ぜひどうぞ。

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暑さと厚さのケミストリー

今日は住み心地の話

 

 

 

今日は住宅の住み心地の話。

 

 

まず我が家の断熱性能はあまり高くない*¹

 

気密性は標準-やや良いレベルだ*²

 

この点については建築家や工務店と散々に話し合った。

 

最終的には工務店の「この地域ではそれほどの性能は必要ない」という言葉に乗ることにした。

 

一方で工務店は冬はいいが夏は暑いだろうと言った。

 

建築家は夏もどうにかなるのでは?と言った。

 

こうした状況はよくあると思う。そして施主は知識は集められても実学は圧倒的に少ない*³

 

こうした実際のところを聞けるのがブログの最も価値あるところだと思うので,お伝えしておこう。

 

情報を整理しておく。

 

断熱性:近年の一般から言えば低い

気密性:一般HMよりは高く,こだわっている会社からすると低い

間取り:1階はほぼ吹き抜け,ハイサイドライト,トップライトが盛々

設備:床下エアコン1台(おもに暖房用),2階部にエアコン一台(おもに冷房用),3種換気,ノーカーテン

施主:暑いの大得意,家族はそうでもない

暑さ:今年の暑さは記録的

 

外部気温が35~38度ぐらいになっている日も多かった今年だが,

体感的には何とかなっている。

エアコンは基本1台で家中を賄っているが,38~40度台になる日はさすがに二台で動かしている。

正直最も日の入る時間帯,間取りの影響的に言えば10~13時ごろまでは直射日光のせいで暑い。

直射日光を遮ることができればもっと快適に過ごせるだろう。

室内気温については28~29度まで上がっているのだが,そこまで暑さは感じていない。家事などで大きく動けばうっすら汗をかくという感じ,

外からもどればひやっとするが寒いとは思わないレベルだ。

 

冷房を全くつけないということも試験的にやってみると,これは危険だった。

気温的には31度ぐらいまで上がったがとても冷房ありの29度の状況と2度違うレベルとは感じなかった。

体感的には5度は違った。空間に身を置くだけで汗をかくレベルである。

また,一度上がりきった気温はその後冷房をつけても容易には下がらなかった。

 

断熱は,保温性ともいえる。水筒の魔法瓶のように暑さは暑さのまま,寒さは寒さのまま保存するからだろう。

 

個人的な結論から言えば断熱性が低いといってもきちんと対処をすれば大丈夫というところだ。

ちなみに光熱費もさほどでもない*⁴

 

どうしても暑いのが我慢できないという人は,断熱材をこだわるよりまず間取りを考えた方がいい。

ハイサイドライトやトップライトは避けた方がいいだろう。

窓も軒庇を十分に出すスタイルの建築家に依頼した方がいい。

 

 

ちなみに家族にも暑いがおおむね問題ないとの評価を受けている。

ただし寝室,てめーはダメだ!という反応なので,

寝室には別途エアコンを設備した方が家族仲は良好になるかもしれない*⁵

 

 

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*¹GWで壁厚などはまさかの90㎜である。個人的には承服しかねた。

*²C値でいうところの0.6である。

*³これについては各会社のオープンハウスを訪ねて体験するしかない。

 それについても間取りなどによって大きく違うが…。

*⁴マンション住まいの時の3分の2程度である。

*⁵ちなみに寝室は間取り的には最も涼しい位置にあるがやはり熱がこもる。

 寝室という性格上仕方がないのだろう。個人的には全く問題ないのだが・・・

 

 

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洗面

web内覧会その10

 

今日は1階洗面をとりあげる。

 

取り上げる価値もないぐらいの小さな空間だが,その存在について考察したい。

 

スペース的には最小限かつ最低限である。*¹

 

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しかし存在感はあまりに大きい。

 

 

それはなぜか

 

役割が兼ねられているからである。

 

 

トイレの前にある1階洗面はトイレの手洗いとして使われる。

 

玄関の前にある1階洗面は帰宅後の手洗いとして使われる。

 

寝室の近くにある1階洗面は就寝前や起床後の手洗いとして使われる。

 

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つまり,なくてはならない存在である。

 

何があるかではなく,どこにあるか,何に使うかである。

 

 

洗面器:カクダイ

壁付け水栓:カクダイ

タオル掛け:カワジュン

照明:フジワラ照明

 

*¹本当はアンダーカウンターにする予定だったが,

アンダーにするだけで10万単位で増額になったため粛清された。

まさに最低限である。

 

 

 

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サニタリー&ユーテリティ

web内覧会その9

 

今日は2階のサニタリー&ユーテリティについて

 

2階は水回りとバルコニーのみ。

生活はほぼ1階で成り立っている。

 

建築家の提案は水回りも含めて,1階に納め,1階で生活が完結する家だった。

老後や耐久性,安全性を考えるとベターだ。

 

しかし,プライベートな空間がパブリックな空間に入ってくるのがあまり好みではなかったことと,

子どももいる中ではどうしてもスペース的に窮屈感がぬぐえなかったので,

すべて2階に上げて2階はサニタリーが占めることとなった。

 

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ユーティリティールーム(今はサンルーム兼リネンルームとして使っている)

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洗面とサブトイレトイレの向こうは洗濯機および乾燥機スペース

 

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バスルーム



一階と転じて,総じてモダンな雰囲気になっている。

実際には間取りはやや複雑だが,イメージ的にはバスユニットスペースである。

 

 

 

バスルーム以外床:杉無垢,オスモオイル塗装(シルクグレー塗りふき取り仕上げ)

トイレ:パナソニックアラウーノ

洗面:サンワカンパニーレッタンゴロW750

収納付きミラー:シナ造作

バスルーム:FRP仕上げ

バス水栓:サンワカンパニークロム

バスタブ:カルデバイSaniform Plus

 

 

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人の目には何が見えるか

今日は余談です

 

web内覧会の途中ですが,

内覧会を続けすぎて単調になってきたので,

今日は余談の日にします。

 

我が家にはスキップフロア的な空間があります。

私はこうした余白が豊かさを引き出すと考えています。

こういった空間の何がどう豊かさにつながるのかちょっと考えてみたいと思います。

そのためにまず人の目の見え方について考えます。

 

人の目は不思議なもので特定の条件を好ましく感じ,特定の条件を落ち着かないと感じます。

 

例を出しましょう。

 

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これはスイッチという同じ属性であり,樹脂製という同じ属性です。

なのでこの三つのモノは一つの塊としてみます。

しかし,色や質感,記号の形(コスモとアドバンスとSOSTYLE)が違うので,

違和感を抱いてしまいます。

 

こうした連続の中の不連続に違和感を抱く性質は危険なものを見分けるために身についた人の目の力です。

あえて違和感を作って刺激的なものにするという使い方もできますが,落ち着きたい家には基本不適切です。

 

ですので,できる限り属性は整えた方が気持ちのいい空間になります。

ただし,属性には形のほかに質感や色など様々なものがありますので,

色だけをそろえるよりは質感(自然素材かそうでないか)や

形も整えた方が基本的には気持ちのいい空間になると思います。

 

しかし,人間は不便なもので刺激が強いと落ち着けなくなる一方で,

刺激が少なすぎるとつまらないと感じてしまいます。

 

サビのない歌やサビばかりの歌のようなもので,

ただ連続するのではなく,変調(不連続)がないと名曲にはならないのです。

いい音楽にはAメロからサビへの流れがあるように,適度でかつ自然な抑揚が必要です。

 

それを生み出しやすいのがスキップフロアです。

 

床は基本連続している方が気持ちいいですが,ただ連続しては単調になりますからハズシとしては非常に有効です。

 

また,広さという視覚的にもスキップフロアは有効です。

本来であれば壁を使って空間を分ける必要がありますが,スキップフロア的な高さの操作があれば,それだけで空間が分けられます。

 

床の連続を切っているためです。

 

狭小住宅ではこの縦の操作やガラスを使ったいわゆる「ヌケ」と呼ばれる横の操作で,

本来であれば,狭いはずの空間をあたかも広いかのように錯覚させるのです。

 

 

…とはいえどう感じるかの感覚は人によって微妙に違います。

冷たい感じが好きな人もいれば温かい感じが好きな人もいるでしょう。

人によって好きな音楽が違うようにフィーリングのあった空間を作る建築家を探すことは大事だと思います。

 

ちなみにスキップフロアは土地の高低がある場合は自然に沿う形でスキップフロアになるため問題ないですが,

我が家のように平坦な土地から無理にスキップフロアを作ると構造面の負担が大きく,

その負担をさらに建築構造的にねじ伏せるためにかなりの金銭的負担がかかります。

 

構造的にも安定しないので,正直お勧めしません。

ある意味土地の形という自然に逆らう形になっているということですね。

 

一番オススメするのは小上がりです。20~30cmの段差であっても十分に空間は切れますから,平坦な土地では構造的にも負担の少ないこの方法を使う方が妥当です。

 

例を示します。

 

(引用文献 ダイシンビルド  ヴァンガードハウス 設計 堀部安嗣氏

 

この家では,ダイニング部は土間になっていますが,リビング部との間を数十センチの小上がりを作ったことと素材を変えたこと,造作棚を挟んだことで連続を切っています。

これだけで単なるリビングダイニングではなく,空間に抑揚が出るわけなんです。

 

堀部さんはよくこの手法を使われていますが,狭い家ではおすすめの手法です。

 

 

ちなみに私は建築のプロでもなく,ビギナーですらないただのファンです。

本日の内容は話半分で聞いてくださいね。

 

 

ではまた次の話でお会いしましょう。

 

 

おまけ

リビングの気持ちのいい連続の中に燦然と輝く違和感(スイッチプレート)

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情報を遮断する

今日は余談です。

 

毎日テレビではコロナウィルスの話題が中心に据えられて,

その周りを固めるように,人の醜聞や人気俳優の自死にまつわる話題が取り上げられます。

 

きっとマスコミの人たちは自分たちの戦場で人のためになると信じて情報や真実を伝えようとされているのだと思います。

 

そのことは尊いことだと思いつつも,情報や言葉が人に与える影響を軽視しているように感じてしまっています。

 

毎日伝えられるそうした情報を仕事柄見ないわけにいかないものもありますが,多くの情報にはフタをすることにしました。

 

人気俳優はその仕事の中でプロの仕事を見せてくれていたと思います。

その後の話や背景にある真実に興味がないと言えばうそになりますが,知っていくことで自分のためになるものはないと感じています。

 

それよりも自分の中にある存在感のある姿を大事にしたいと思います。

 

 

情報や言葉は諸刃の剣で,助けになることもあれば,言葉以上の意味を自分の中に内包して,自分を苦しめることがあります。

 

そんな時には情報や言葉からいったん距離を置いて,自分の感じ方を大事にすることをオススメします。

 

ふかふかのタオルや温かいコーヒー,冷たいアイスやさらさらした床,

情報以上に自分の体に応えてくれるものは周りにもたくさんあるでしょう。

 

ぜひマスコミの人はそうしたことも伝えてほしいと思います。